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2008年05月
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」(経営承継円滑化法案)が5月9日に成立、同月16日に公布、10月1日から施行されることになりました。
同法案は,事業承継円滑化のための総合的支援策の基礎となることから,中小企業の事業承継支援が本格化することが予想されます。
経営承継円滑化法の主な内容は、
1)平成20年度中に相続税の課税について必要な措置を講ずる旨を規定
2)遺留分に関する民法の特例を創設
3)金融上の支援措置
などとなっています。
相続税の課税措置については、平成21年度税制改正において「非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度」を創設し、経営承継円滑化法の施行日である10月1日に遡って適用することが予定されています。
同制度は、一定の雇用確保や5年間の事業継続などを要件に、後継者が取得した非上場企業の発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に係る課税価格の80%に対応する相続税を納税猶予するというものです。
また、相続税の課税方式を現行の法定相続分課税方式から遺産取得課税方式へ変更することも検討されています。
民法の特例は、
1)生前贈与株式を遺留分の対象から除外する
2)生前贈与株式の評価額をあらかじめ固定する
一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員と合意し、その合意が事業承継の円滑化を図るために行われたことについて経済産業相の確認、家庭裁判所の許可を受けたときに、特例の適用を受けることができるというものです。
この特例の創設によって、生前贈与された株式が遺留分減殺請求の対象外となるため、相続に伴う株式の分散を未然に防止でき、また、生前贈与後に貢献者の貢献によって株式の価値が上昇したときでも、その上昇分が遺留分減殺請求の対象外となるため、相続開始時点の上昇後の評価で計算されることもなく、後継者の経営意欲が阻害されないことなどが期待できます。
さらに磨きを掛け中小企業の事業承継を円滑に行うことができる法律になっていくことを期待します。
日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会は、平成20年5月1日付けで、「中小企業の会計に関する指針」を改正いたしました。
また、日本税理士会連合会では、中小企業の計算書類について、「中小企業の会計に関する指針」の適用状況を確認するための書類として、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を作成し、公表しております。
本チェックリストは、「中小企業の会計に関する指針」の改正を機に、より記載しやすくするため、平成19年5月24日付けで改訂されて以来、変更はありません。